マーケティング的な課題をすべてクリアして、広告賞などを受賞できる実力者もいなかったわけではありません。
しかしそれは、アートディレクターの器量だけでなく、他のクリエイティブなパートナーの協力が必須条件で、その他にも様々な条件をクリアせねばならず、やはり手っ取り早いのは、前者の方法でした。
この業界ウケのアートディレクションに日本中の評価軸を定めてしまったために、不況やバブル崩壊の波の中で「きれいなデザインは売れない」「広告で重要なのは、アートディレクターに好き勝手をさせないことだ」というような誤解を、ダイレクトマーケティング(テレビCMや新聞広告などのマス広告でない、売り手が顧客にダイレクトにアプローチを仕掛けていく手法。
いわゆる通信販売業界がそれにあたる)業界を中心に植え付けてしまいます。
ここから、インターネットマーケティング(主に検索エンジン対策を主とするキーワードマーケティングなど)やワンツーワンマーケティング(一対多数に対し、一対一を前提としたマーケティング全体に対する呼び名。
インターネットマーケティングの中のパーミッションマーケティングなども含まれる)VS広告・アートディレクションという対極構造ができあがってしまったのです。
今現在のアメリカやネット先進国では、ダイレクトマーケティングのノウハウよりもデザインチュートリアルのほうが明らかに盛り上がりを見せています。
つまり、日本もあと10年、いえ、もしかしたらほんの数年で、ノンデザイナーと言われる非業界人がデザインをマネジメントしなければならない時代がやってくるかもしれないのです。
ダイレクトマーケティングの手法自体は、正しく使えば大きな効果が望めると言えます。
ただし、一般的にダイレクトマーケティングに関する書籍においてデザインについての記述は、偏った内容のものが多いため(これは、予算配分において、クライアントが真剣にデザインに費用を掛けてしまったら、多くのダイレクトマーケターやコピーライターのギャランティが激減してしまうという事態が起きるため)あまりお勧めできません。
かといって、自分の作品のグラフィティだけを並べてある、作家性の強いアートディレクターのサンプルを見ても、実際に何千万、何億という広告予算がないのであれば、あまり参考にはならないのです。
そのため、ダイレクトマーケティングの考え方やワンツーワンマーケティングの手法についても、正しく理解してデザインマーケティングと共存させていくことが必要です。
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